新調理システムを導入するメリットを紹介
新調理システムとは、ハサップ(HACCP)にもとづいた調理方式で、厳格な衛生管理と科学的な視点の取り入れが特徴です。科学的視点の取り入れにより、調理者の知識や経験に左右されず、一定の品質の料理を提供できるようになりました。今回は、新調理システムの調理方法や導入メリット、調理器具について紹介します。
新調理システムで活用される調理方法
新調理システムには、おもに4つの方法があります。
クックチル
この方法では、まず料理を通常どおり加熱調理した後、短時間で3℃以下まで冷やします。その後、低温で保存し、食べる直前に再び温めて提供します。この方式のよい点は、味や栄養を保ちながら約5日間保存できることです。また、細菌の増殖を抑えられるため、食事の安全性が向上します。学校給食や病院食など、大規模な食事提供の現場で作業の時間配分を改善するのに役立っています。
ニュークックチル
これはクックチルを改良したもので、再加熱する前に料理を皿に盛りつけます。このやり方により、加熱から食事を出すまでの時間が短くなり、より安全に提供できます。とくに「調理後2時間以内に食べる」という食品衛生の基準をクリアするのに有効な手法です。
クックフリーズ
クックフリーズは、調理後の料理を急速に凍らせる技術です。この方法では最長8週間も保存することができます。計画的に料理を作り置きできるため、繁忙期の負担軽減につながりやすいです。また、必要な分だけ解凍して使用できるので、食材の無駄を減らす効果もあります。
真空調理
最後に紹介する方法は真空調理です。下ごしらえした材料を調味料などと一緒に空気を抜いた袋に入れ、加熱・冷却・保存し、食べる前に温め直します。この調理法の特徴は、食材本来の味わいを引き出し、やわらかく仕上げられることです。お湯で温めるだけで提供できるため、調理器具が汚れにくく、片付けもかんたんになります。
新調理システムを導入するメリット
新調理システムは、飲食業界に革新をもたらす仕組みとして注目されています。このシステムを導入することで、さまざまな面でメリットを享受できます。
作業の効率化
従来の調理法では熟練した技術が必要でしたが、新しい方式では手順が単純化され、誰でも一定水準の料理を作れるようになります。これにより、調理にかかる時間が大幅に減少し、スタッフの体力的な負荷も軽くなります。とくに忙しい時間帯でも、利用者を長く待たせることなく、温かい食事を提供できるようになるのです。
料理の質の安定
新調理システムでは工程が標準化されるため、提供される食事の味や見た目にばらつきが生じにくくなります。ベテランの料理人の経験や勘に頼る部分が減り、誰が作っても同じ味わいの料理を出せるようになります。また、食品の安全性も高まり、衛生面での管理も徹底しやすくなることもメリットです。
費用の削減
新調理システムを導入すれば食材の無駄が減るため、廃棄物が少なくなります。また、効率的な調理によって電気やガスなどの使用量も抑えられます。さらに、調理工程が簡略化されることで必要な人員を最適化でき、人件費の削減にもつながるでしょう。
作業の平準化
従来の方法では、営業時間中は常に急いで調理する必要がありました。しかし、新システムでは事前準備が可能となり、一日をとおして均等に作業を分散できます。これにより、スタッフの負担が一部の時間帯に集中することがなくなり、働きやすい環境が整います。
新調理システムで活用できる調理器具
最後に、新調理システムで活用される5つの調理器具を紹介します。
スチームコンベクションオーブン
1つ目の器具は「スチームコンベクションオーブン」です。この機器は蒸気と熱風を組み合わせて食材を加熱します。通常のオーブンとは異なり、蒸す・焼くだけではなく、煮込みや炊き込みなどさまざまな調理方法に対応できます。一度に複数の料理を調理できるため、作業効率が大幅に向上することでしょう。
急速冷却冷凍機
2つ目は「急速冷却冷凍機」です。調理した熱い食品を短時間で冷やす装置で、細菌が増殖しやすい温度帯をすばやく通過させることで食品の安全性を確保します。熱い料理を冷蔵温度まで下げる冷却機能と、しっかり冷凍する機能を持つものもあります。食材の風味や栄養素を保持しながら保存期間を延ばすことが可能です。
真空包装機
3つ目の「真空包装機」は、調理した食品から空気を抜いてパック密封する機器です。酸素に触れない環境を作ることで食品の酸化や細菌繁殖を抑制し、鮮度と味を長く保ちます。調理済み食材の保存だけではなく、真空調理法の準備段階でも活用されています。
再加熱カート
4つ目は「再加熱カート」です。これは、冷蔵保存された調理済み食品を提供直前に温める移動式の加熱機です。とくに病院や福祉施設などの集団給食現場で、食事を適温で提供するために重宝されています。
温度管理機能付き配膳車
5つ目は「温度管理機能付き配膳車」です。冷たい料理は冷たく、温かい料理は温かい状態を維持しながら運搬できる車両です。食品の温度管理が徹底され、安全で美味しい状態での提供を可能にします。
まとめ
今回は、新調理システムについて解説しました。衛生管理と科学的視点を取り入れたこのシステムは、従来の調理方法と比べてさまざまな利点があります。調理時間短縮や人材不足の解消、食品ロスの削減など、飲食業界の課題解決に大きく貢献するでしょう。また、安定した品質の食事提供が可能になることで、顧客満足度の向上も見込めます。安全でおいしい食事を効率的に提供できる新調理システムは、飲食業界の未来を明るく照らす革新的な技術といえるでしょう。 完全調理品を作り出すシステムとして、新調理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
