料理の手間を省く完全調理食とは?冷凍食品やレトルトと違う?
この記事では、料理の手間を省く完全調理食について解説します。冷凍食品やレトルトとは異なり、介護食やアレルギー対応、治療食まで網羅されており、利用者のニーズに合わせた食事が提供できます。味や目でも楽しめるような工夫がされており、利用者の満足度も高く、個人利用だけではなく高齢者施設や病院での導入もされるようになりました。
CONTSNTS(目次)
完全調理食とは?
完全調理食は配食サービスに含まれており、学校や病院、高齢者施設で利用されています。最近では、高齢化社会に伴いスーパーでも介護食として完全調理食が販売されるようになりました。
完全調理食はすでに調理が完了した状態で提供されており、利用するメリットは、調理の手間が無い、高齢者や入院患者が食べやすい食形態になっているため、特別な調理設備や技術は不要で、管理栄養士が献立を作成しているため栄養バランスに偏りはありません。
加熱調理後に食品を急速冷凍してあるので、食事提供前に再加熱すれば作りたての料理の味を再現できます。あとは、盛りつけて提供するだけの簡単な工程です。
暴飲や施設では、安全性確保のため加熱調理後2時間以内に摂取するようにマニュアルで記載されている施設が多いため、提供までの時間短縮が可能な完全調理食は、加熱後に人の手に触れないため食中毒防止にも役立ちます。
業者によってはおよそ8週間保存ができるものがでてきました。凍結の方法や食材によっては、素材の味や食感が落ちてしまう可能性もありましたが、業者の技術革新や保存方法の改良により、食感も保たれ味も調理したてのような状態で提供できるようになりました。
災害に見舞われると調理そのものが出来なくなってしまい、嚥下機能が低下し介護食を利用している方にとっては、普通食は摂取できないため、完全調理食をストックしカセットコンロとガスボンベ、水があれば提供できるので食べなれたものを口にできます。
介護が必要な高齢者は災害弱者と呼ばれ、環境の変化に戸惑いストレスや疲れから食欲低下を招き、体調を容易に崩してしまいます。困難なときこそ栄養ある食事で乗り越えられることもあるでしょう。
冷凍食品やレトルトとの違いは、高齢者や嚥下困難な状況にある方に適した食形態で栄養のある食事を提供できることです。
短料理の救世主!完全調理食がおすすめのシーン
介護食や病院食は、自宅で調理するには時間がかかり、微細なグラム単位の調整が必要なため家族の負担増大が懸念されます。また、大勢の食事を担う病院・高齢者施設では、ひとりひとりの状態に応じて短期間で食形態が変更される場合もあり、対応が困難な場面には完全調理食の利用がおすすめです。
小麦の代わりに米粉を使用したパンや卵不使用のマヨネーズなど食物アレルギー対応可能な業者や、介護食としてムーズ食やきざみ食、ミキサー食といった嚥下状態に応じた食形態の対応も可能です。
特別治療食といって医師からの指示で、減塩やカロリー制限食にも対応している業者が増加してきました。食の安全性と効率化を実現できます。高齢者の場合、歯牙の欠損や誤嚥性肺炎で普段摂取している食形態を一時的に中止し、食形態を下げて摂取することがあります。
一時的な対応も完全調理食があればすぐに対応できます。
完全調理食は調理経験に左右されず、いつも同じクオリティで食事提供でき、厨房でプロの調理師がいなくても問題はありません。調理に伴う、設備や電気代・水道代などのコストも削減されます。家庭や高齢者施設・病院で介護食や病院食を調理されている方にとって救世主です。
完全調理食を利用する際の注意点
商品の栄養成分を記載している業者も増えており、塩分や脂質などの記載があるため、利用者が摂取する際に適したものか判断しましょう。医師から治療食の指示がある際には、合わせて指示量を超えていないか資料を取り寄せ、情報収集しましょう。
見た目や味のチェックも必要です。業者との契約前に商品を試食し、行事食対応可能か相談されることをおすすめします。試食の際に、提供するまでの調理工程や提供までの手間や時間がどの程度かかるのか、現場スタッフと話し合って、施設形態にあう業者を選びましょう。
再加熱機が必要なものがあるため、完全調理食自体の費用に合わせて総額がどの程度になるか見積もりを取っておくと安心です。利用者の状態に合わせ、急な食事変更に対応できるサポート体制があるか、ヒヤリング時に確認しておきましょう。
特に高齢者は、体調不良で容易に食欲低下を招き、短期間で嚥下状態が低下するケースもあるため食事変更が対応できる業者は重宝されます。
まとめ
いかがだったでしょうか。完全調理食は、調理の手間を省くだけでなく、栄養価やさまざまな食形態に対応可能で、病院や高齢者施設でも利用されています。嚥下状態に合わせた食事提供は、誤嚥リスクを低減させ、経口から栄養を摂る楽しみをもたらします。
調理の手間を省けると介護者にも余裕が生まれ、皆で食事の席を囲み団らんする幸せな時間も人生の質向上に欠かせないものです。