高齢者こそたんぱく質が必要!高齢者向け高たんぱくの食事とは
世界的に見ても平均寿命がトップクラスに長い日本においては、老後の暮らしは常に関心事の高いテーマです。楽しく自分らしい老後を過ごすためには、健康であることは必須です。ここでは、健康維持のために高齢者こそたんぱく質を摂取するべき理由と、食事において効率的にたんぱく質をとる方法について紹介します。
CONTSNTS(目次)
たんぱく質とは
たんぱく質とは、言わずと知れた三大栄養素のひとつです。アミノ酸によって構成され、主に筋肉や骨、血液の材料になります。
人体に必要不可欠な栄養素となるため、たんぱく質が不足すると、身体にさまざまな悪影響を及ぼします。具体的に、筋力が低下する、髪や肌のツヤがなくなるという外見に直結する悪影響だけでなく、思考力の低下や疲れやすくなる、免疫力が落ちるといった人体の機能的な面での悪影響もあらわれるようになるようです。
とくにシニア世代において、たんぱく質不足はフレイル(虚弱)状態に陥る原因となり、深刻です。フレイルとは、虚弱が進行し、身体機能や認知機能が衰えている状態を指します。
健康な状態と介護が必要な状態の間に位置づけられ、進行すると自力で生活することが困難に。さらに、食欲が湧きにくくなり食事量が減るため、たんぱく質の摂取量も減り、よりフレイルが進行してしまうという悪循環に陥ります。
65歳以上の目標量の下限値が引き上げられている
「日本人の食事摂取基準」は、エネルギーや栄養素の摂取量の基準を示したガイドラインで、厚生労働省が発表している基準です。今後さらに高齢化社会が進行する日本で、健康寿命の延伸を目的として設けられています。
この基準は5年ごとに改定されており、直近の発表は2020年版。2020年4月から、5年間使用されます。従来的な健康の保持・増進、生活習慣病の発症・重症化予防という目的に加え、新たに高齢者の低栄養予防・フレイル予防も視野に入れて策定されているのが最新版の特徴です。このため、多くの項目でより細かい高齢者の年齢区分が設けられています。
たんぱく質についても、50歳から64歳、65歳以上、という区分が新たに設けられました。2020年版では、高齢者の低栄養やフレイルを予防するため、50歳以上が目標とするたんぱく質摂取の下限値を他の年齢区分よりも引き上げられています。さらに65歳以上では50歳以上よりも高い下限値が設定されました。
たんぱく質を食事で摂取するには
食事で充分な量のたんぱく質を摂取するためには、さまざまな食品を積極的に食べることが必要です。たんぱく質を多く含む食品としては、肉、魚、豆、卵、乳製品などが挙げられます。以下、このような食品を中心に、よりたんぱく質を効率的に摂取するためのコツを紹介します。
■手間の少ないものをプラス
プラス一品として、調理の手間が少ない食品を加えましょう。手軽に摂取できるものであれば、習慣化して日常的にたんぱく質を摂取しやすくなります。そのまま食べることができるゆで卵やチーズなどがおすすめです。
■複数の食材を組み合わせる
たんぱく質の原料である必須アミノ酸の含有量は、食材によって異なります。効率よくたんぱく質を摂取するには、日頃から、肉や魚といった動物性たんぱく質と、豆などの植物性たんぱく質をバランスよく食事に取り入れることが重要です。
■毎日継続して摂取する
継続して摂取を続けることも重要です。一度の食事で大量に摂取したとしても、余分なたんぱく質は脂質として蓄積されてしまうため意味がありません。適切な量を継続して摂るように心がけましょう。
■間食でもたんぱく質を
間食をとる場合、高たんぱくな食品を取り入れるのがおすすめです。豆が原料のきな粉や、乳製品のヨーグルト、アーモンドや小魚などもたんぱく質の含有量が多く、おすすめです。
■炭水化物や脂質を減らしすぎないように注意する
たんぱく質の摂取を重要視しすぎた結果、炭水化物や脂質を減らしすぎてしまうということがあるようです。炭水化物や脂質も、たんぱく質と並ぶ三大栄養素のひとつなので、まったく摂取しなければ悪影響になります。
炭水化物をまったくとらないダイエットが流行っていたことがありますが、健康的な生活を送るのに不可欠な栄養素を摂取しないのは大変危険です。また、たんぱく質、炭水化物、脂質は相互に作用するはたらきをします。それぞれを適切に摂取することが大切となるため、覚えておきましょう。
ここまで高齢者こそたんぱく質が必要である理由と、食事の中で効率的に摂取する方法について紹介しました。たんぱく質は三大栄養素のひとつで、これが不足することは、とくに高齢者にとってフレイルの原因になるなどの悪影響があります。高齢者のたんぱく質摂取の重要さは「日本人の食事摂取基準」からも分かりますね。日頃の食事の中で継続して摂取することが重要です。しかし、だからといって他の栄養素をないがしろにしてよいわけではありません。たんぱく質の摂取は意識しつつ、バランスよく食事をとることが重要です。
