完全調理品サービスでよく聞く「HACCP(ハサップ)」って何?
導入の義務化がスタートしている「HACCP」というシステムをご存知でしょうか。通称・ハサップと呼ばれるこのシステムは、今後食品における衛生管理において非常に重要なキーワードとなります。今回の記事では、完全調理品サービスの界隈でも話題となっているHACCPについて焦点を当てます。ぜひご一読ください。
CONTSNTS(目次)
HACCPとは
食品業界を中心に大きな話題となっている「HACCP」ですが、そもそもどんなシステムなのでしょうか。
HACCPとは、簡潔にまとめると「食品の衛生管理システム」を意味します。
元々、アメリカで生まれた衛生管理手法の一種であり、その歴史は古いものです。HACCPは英単語ではなく造語であり、以下のような意味があります。
危害などを意味するハサップ
HACCPとは、危害・分析・重要・管理・点の5つの英単語の頭文字を合わせた造語です。危害と分析は、食品衛生上で起こり得るトラブルを意味します。
たとえば、異物の混入やウィルスの混入などが考えられます。定期的に病原性大腸菌が混入してしまい、飲食店で集団食中毒が発生する事件が起きているため、身近なトラブルとしてご存知の方も多いでしょう。
食中毒や誤飲のトラブルを避けるためにも、危害を分析する必要があります。重要、管理、そして点は管理や記録の過程を意味します。
危害を分析できたら、そのあとは実際の食品製造過程にその分析結果を落とし込み、安全な調理・加工を実施する必要があります。
なぜハサップが求められているのか
HACCPは国際的な食品衛生の手法として世界中に拡大しており、安全な食の管理として導入が進んでいます。
では、どうしてこのような手法が日本でも求められているのでしょうか。HACCPの導入は製品の不具合を早急に発見し、トラブル回避が出来たり、クレームを減らしたりする効果が期待できます。
また、2021年6月の国内義務化によって衛生管理意識は全国規模で向上し、食品業界全体の安全性が高まると考えられています。
一定のルールを守っていくことで、現場の衛生管理が作業効率化できるというメリットもあるでしょう。従来の衛生管理よりもワンランク上の管理を行うことで、企業価値の向上も期待できます。
3つの分類ごとに異なる注意点
HACCPは衛生管理の手法ですが、その管理は大きく3つに分類をすることができます。
では、3部類とは一体どのようなものでしょうか。食品群によって細菌を死滅させる衛生管理が異なっているため、以下のように分類されます。
加熱が不要の食品群
食品加工のなかには「加熱が不要な食品群」があります。代表的なものとしては生野菜で、そのままを提供することが可能です。
また、焼きのりや漬物類なども加工が済んだ状態であり、加熱をせずして提供することができます。
しかし、加熱しないため、細菌が付着しても熱で死滅できません。衛生管理は大変注意が必要です。こうした加熱が不要の食品群は、1つにまとめて管理ができます。
加熱直後に提供すべき食品群
加熱不要の食品群とは対照的に、加熱後すぐに提供すべき食品群もあります。主に焼いた肉類やうどん、ラーメンなどの麺類、揚げ物類などが該当します。
未加熱による細菌発生を避けるためにも、加熱が必要な食品群も1つにまとめることが可能です。
加熱と冷却がセットとなる食品群
食品群のなかにはソース類など、加熱と冷却の両方が必要な食品群もあります。
加熱後に冷ます過程が必要ですが、中途半端な速度で冷却すると細菌類が増殖するため、高速冷却が必要となる食品群です。細菌を確実に死滅させるために、難しい工程を経る必要があります。
分類に合わせて適切な管理を実施する
以上の3分類に合わせて、食品衛生の適切な管理を実施する必要があります。どのように細菌から食材を守るのか、どのように細菌の死滅処理後に食事の場所へとお届けするのか、基準を明確にルール化する必要があります。
また、食品衛生管理は1日で完結するものではありません。適切な管理は日々、繰り返し行っていく必要があります。
HACCPを守るには計画と記録が重要になる
義務化されたHACCPを適切に実施していくためには、一体どんなことを心掛けるべきでしょうか。
結論から言うと「計画と記録」がカギを握る存在です。では、この2つには一体、どんな役割があるのでしょうか。
計画
食品衛生を適切に行うために3つの分類がある、と解説しましたが、多くの食材は加熱を必要とします。
美味しく、かつ安全性が確保できた食事を提供するためには、加熱に一定の基準を設ける必要があります。
加熱が不足すると細菌が死滅していない可能性があるため、再調理をするのか食品ロス化するのか、計画を定めておく必要があります。
また、加熱に必要な調理器具、設備を導入し温度計などで、加熱を常にチェックできるようにしておきましょう。日々の調理・管理の計画は、トラブルを防ぐためにも欠かせません。
記録
計画に沿って、日々の調理・管理を運営していく際には、記録も取得していく必要があります。
ロス率やミスなども把握できるようにすることで、作業効率の見える化もできるでしょう。また、危機管理のためにも記録は必要です。
記録があれば、もしも食中毒や誤飲が起きたときに、速やかに自社内の記録を提出することもできるでしょう。保健所対応やお客様対応の迅速化で、解決が早まることも予想されます。
まとめ
この記事では、完全調理品サービスの界隈でも話題となっている「HACCP」について、詳しく解説を行いました。
食品衛生管理に大きな影響を与えている「義務化」ですが、すでに導入が始まっている以上、順守をしていく必要があります。安全な食の管理は、今後も世界的な課題です。
環境のためにも、食品ロスの減少も欠かせません。しっかりと厚生労働省の手引きなども参考に、衛生管理意識のアップデートを進めていきましょう。