柔らかい食べ物って具体的にどんなものがあるの?調理法は?
高齢者の食事は通常よりも柔らかくして提供するのが基本ですが、実際にどのようなメニューにすべきか悩んでしまう人も多いでしょう。今回は高齢者向けの柔らかい食べ物について、柔らかい食べ物を選ぶべき理由や具体的なメニュー・食材例などを詳しく解説するため、高齢者の食事に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
なぜ高齢者には柔らかい食べ物がいいのか
高齢者の食事は柔らかい食べ物が適しています。食事に関する能力が落ちている高齢者のために作られる食事は介護食と呼ばれ、歯を使わずに上あごだけで食材をすり潰せる程度の柔らかさが目安です。ここでは、高齢者の食事として柔らかい食べ物が採用される理由について詳しく解説します。
噛む力・飲み込む力が弱くなるため
歳を重ねると、歯が少ない・歯がないなどの理由で噛む力が弱くなる人が多いです。しっかりと咀嚼できないと固形物が喉に詰まる危険性があるのはもちろん、食材の栄養素を吸収できないなどのデメリットがあります。
柔らかい食事であれば噛む力が強くない人でも喉に詰まる可能性が低くなり、また、すでに咀嚼した後のような柔らかさの食材を口にすることで、効率よく栄養素を吸収することが可能です。さらに、高齢者は噛む力だけでなく飲み込む力も弱くなります。柔らかい食事であれば通常の硬さの食事よりも飲み込みやすくなるため、窒息や誤嚥などの心配も少なくなります。
食事の楽しみを持続させるため
介護食には、高齢者の状態によってさまざまな硬さがあるのが特徴です。上あごですり潰せる程度の柔らかさのほかには、食材を細かく刻んだ刻み食、食材をペースト状にしたムース食などがあります。
刻み食やムース食は高齢者が安全に食事をとるために必要な調理法である一方で、噛む力や飲み込む力がある程度残っている高齢者にとっては、刻み食やムース食は満足感を得にくい・おいしさを感じにくいといったデメリットがあります。食欲や食の楽しさを維持するためにも、それぞれの高齢者に合わせた柔らかさの食事を選択することが重要です。
柔らかい食べ物のメリット
柔らかい食べ物を食べることで、誤嚥を防いで安全に食事を楽しめます。また、噛む力が弱まっている高齢者でも咀嚼しやすく、噛むことが負担になりません。加えて、柔らかい食べ物は刻み食やムース食と比較すると見た目の美しさを損なわず、目でも食事を楽しむことが可能です。
それぞれの食材が持つ色や形をキープして通常の食事と同じような盛り付けができるため、見た目からも食欲が掻き立てられるでしょう。
柔らかい食べ物の具体例
柔らかい食べ物にはさまざまな食材・料理がありますが、高齢者の食事に関して言えば歯茎ですり潰せる柔らかさが基本となります。ここでは、柔らかい食べ物の具体的な例を紹介します。
そのままで柔らかい食べ物
ゼリーやバナナ、豆腐、うどん、おかゆ、茶碗蒸しは柔らかい食べ物の代表例です。また、かぼちゃやさつまいも、じゃがいもなども、火を通すことで簡単にすり潰せる食材のひとつです。
調理によって柔らかくした食べ物
上記で挙げたような食材はもちろん、本来は固さのある食材を調理によって柔らかくするのも有効となります。たとえば根菜類は歯ごたえのあるものが多いですが、長時間火を通した煮物にすることで柔らかい状態で食べられます。
調理で柔らかい食べ物の栄養を取る
高齢者向けの柔らかい食べ物を提供する際は、栄養バランスが偏らないように注意しなければなりません。ここでは、柔らかい食べ物で栄養を取るための調理例やポイントを紹介します。
おかゆに具を足して栄養アップを図る
柔らかい食べ物を食べる高齢者は、おかゆを主食としていることが多いです。おかゆはそのままでも美味しく食べられますが、たまごを入れてたまごがゆにしたり、豆腐を入れたりすることで、手軽にタンパク質を摂取できます。
ポイントとして、飲み込む力が弱い人に提供する場合は、とろみをつけることで食べやすくなります。
栄養価の高いじゃがいもをアレンジする
先述の通り、じゃがいもは柔らかい食べ物を作るのに向いている食材のひとつです。じゃがいもは栄養価が高く、ビタミンCや食物繊維、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれています。
柔らかく茹でて潰すだけでも食べやすいですが、ペースト状のじゃがいもに牛乳やコンソメ、バターを入れて混ぜればマッシュポテトやポタージュのような洋風メニューにもアレンジできます。
まとめ
今回は、高齢者向けの柔らかい食べ物について、柔らかい食べ物を摂るメリットや具体的な食材例、柔らかい食べ物で栄養を摂るためのポイントなどを詳しく解説しました。高齢者は噛む力・飲み込む力が弱くなることで、食材が喉に詰まる・栄養素を十分に取れないなどの問題が起こりやすくなります。
柔らかい食べ物は高齢者が安全に食事を楽しんでしっかりと栄養を吸収できる上、食事において重要な要素となる見た目の美しさを維持できることで、食欲増進効果も期待できます。
また、柔らかい食事は通常食よりも調理が難しいため、すでに調理された食事が真空パックになっている高齢者向けの完全調理品を利用するのもよいでしょう。完全調理品は調理の手間を省けるほか、温めのみで栄養バランスが整った食事を提供できます。