食事介助の手順と注意点とポイントについて

公開日:2024/07/15  

完全調理品 食事介助

食事介助は重要な介護のひとつですが、注意して介助しなければ要介護者のストレスになるだけでなく命の危険もあります。食事は心身の健康を保つために不可欠であり日々の楽しみのひとつといえるでしょう。ストレスが少なく満足度の高い食事時間となるように工夫が必要です。そこで今回は、食事介助の手順と注意点とポイントについて解説します。

食事介助の概要とその目的

食事介助とは、自力で食事を摂取することが難しい要介護者のサポートをすることです。食べ物を口に運ぶこと以外にも、安全に飲み込める食事の準備や食事の環境を整えることも食事介助として必要なサポートのひとつです。

病気や加齢により食べものを飲み込む力(嚥下機能)が低下すると自力での食事が困難になりますが、栄養や水分が不足してしまうと栄養失調や脱水症状などのリスクもあります。生活の質を高めるためには、要介護者の健康を保つための栄養や水分を摂取できるように適切な食事介助をおこなうことが大切です。

嚥下機能が衰えたからといって食事量を減らしてしまうとさらに嚥下機能が衰えてしまい、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。また、経口での食事の摂取が難しいと医師に判断された場合、胃に直接栄養を注入する「胃ろう」や、鼻から入れた管を通して栄養を注入する「経管栄養」となる可能性もあり、食事の楽しみを失ってしまいます。

食事介助をする目的には、必要な栄養や水分の摂取だけでなく、食事の楽しみや満足感を与えることや嚥下機能の低下を防ぎ生活の質を高める目的もあります。

食事介助の手順を紹介

食事介助をスムーズにおこなうためにはまずはしっかり事前準備をすることが大切です。テレビを消したり、テーブルの上をきれいにしたりするなど、落ち着いて食事ができるような環境づくりを心がけましょう。また、食事中に席を立ってしまうと集中力が途切れてしまうため、食事の前に排泄を済ませておくことも大切です。

次に、嚥下体操や唾液腺マッサージをおこない唾液の分泌を促したり、口腔ケアや水分摂取により口腔内を潤しておいたりすると、食事を飲み込みやすくなります。

準備が整ったら要介護者を安全な体勢で着席させエプロンをつけましょう。食事は本人から見える位置に配膳し、介護者は本人の斜め前か隣に座ります。また、食べる前に食事を見せながら献立を説明すると、食べる意欲がわき食後の満足感も得やすくなります。

次に食べる順番ですが、食事の食べ始めは唾液が十分に分泌されていないため、まずは飲み込みやすい水分の多いものやとろみのあるものからにしましょう。必ず飲み込めたことを確認してから次のひと口を与え、本人のペースに合わせてバランスよく食べられるように介助しましょう。

食事の時間は長すぎても要介護者が疲れてしまい誤嚥しやすくなるため、30分程度を目安に切り上げます。食事が終わったら食べたものや量を記録しておくと、介護に関わる人や医療関係者に共有しやすく食事の管理ができるためおすすめです。

服薬の必要がある場合は忘れずに服薬介助をおこない、最後に口腔ケアをします。歯磨きや入れ歯の洗浄をし、口のなかに食べものが残っていないか確認しましょう。嚥下機能が衰えていると喉のほうに食べものが残っている可能性があるので注意して確認し、食べものが口腔内に残っていた場合は誤嚥しないようにきれいに取り除きましょう。

食事介助の注意点と正しく食べてもらうコツ

食事介助をするうえで一番大切なことは、誤嚥や窒息を防ぐことです。嚥下機能や咀嚼力が衰えた要介護者は誤嚥や窒息のリスクがあるので、なるべくとろみのある食べものや水分の多いものを選ぶとよいでしょう。

とくに食べ始めは唾液の分泌量が少なく喉のまわりの筋肉も動きにくいため水分が多いものを選び、ひと口の量を少なめにしましょう。高齢者のひと口の目安量はティースプーン1杯程度です。介助用のスプーンを使用し、要介護者の好みや状態に合わせてスプーンの形状や種類を選ぶとよいでしょう。

また、誤嚥を防ぐためには要介護者の姿勢も重要なポイントです。前傾姿勢で軽くあごを引くことで飲み込みやすくなります。リクライニングで上体を起こしたり、クッションで姿勢を安定させたりするとよいでしょう。

また、食事をやわらかくする、細かくするなどの配慮をすることも大切です。食べものを小さく刻んだきざみ食や、食べものをミキサーにかけ液体状にしたミキサー食、噛まずに食べられる流動食など、要介護者の嚥下力や咀嚼力の状態によって食べやすいものを選びましょう。

最後に、要介護者とコミュニケーションをとることも食事介助をするうえで非常に重要なポイントのひとつです。飲み込む前に次のひと口を準備し待ち構えてしまうと急かされているように感じてしまうため、コミュニケーションをとりながら食べるスピードやタイミングを合わせるように気をつけましょう。

食べたいものや食べたくない理由などを聞くことで、食事が億劫になっている要介護者にも食べてもらいやすくなるでしょう。

まとめ

食事介助は、ただスプーンを口に運び食べさせるのではなくさまざまなことに気を配る必要があります。とくに命の危険につながる誤嚥や窒息を防ぐためにはさまざまな対策が必要です。食べるものや量を工夫し、正しい姿勢でコミュニケーションをとりながら食事ができるよう介助しましょう。

要介護者の状態に合わせて食べものをきざみ食やミキサー食、流動食でつくることは大変ですが、近年では完全調理品が販売されており、調理の手間もなく食べやすくおいしいのでおすすめです。外部のサービスを頼ることで介護の負担を減らせるでしょう。双方にとってストレスのない食事時間になるように工夫してみてください。

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