ミキサー食とは?ミキサー食を作る際のポイントや注意点を解説
ミキサー食とは、病気や加齢などで固形の食事を摂ることがむずかしくなった方に向けて、ミキサーを使って食べやすくした食事のことです。家庭でも簡単に作ることができますが、これまで作ったことがない場合、わからないことも多いでしょう。そこで本記事では、作る際のポイントや注意点を解説します。
ミキサー食のメリット・デメリット
病気や加齢で固形の食事を摂取することがむずかしくなった方でも、栄養摂取がしやすくなる食事方法です。まずは、どのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。
まず、最大のメリットは、飲み込む力や噛む力が弱っている人でも簡単に食事から栄養を摂れることです。食事がむずかしくなった場合、点滴や薬などで栄養を補う選択肢もあります。しかし、ミキサーを活用すれば、食事から栄養を摂れます。
食材を細かく砕いて滑らかな状態になっているため、飲み込む力が弱くなっていても、消化器官に負担をかけることなく栄養を効率良く摂取できるからです。さらに、すでに食材が砕いた状態となっているため栄養の吸収効率が高く、消化機能が低下している高齢者や病後の回復期などにも適しています。
ただし、メリットがある一方でいくつかのデメリットがあります。まず、見た目があまりよくないことが挙げられるでしょう。ミキサーで細かくされた食材は、食材本来の形や彩りでなくなることから、見た目が悪く、あまり食欲をそそるものではなくなる傾向にあります。
さらに、食材を液状にするため多くの水分を多く含むことになり、食事が薄味に感じられたり、食感が単調になりやすくなったりすることも懸念点です。どのような食材を組み合わせるのかによって、見た目や味わいが変わるため、ミキサー食に飽きないよう工夫が必要となるでしょう。
ミキサー食を作る際のポイント
ミキサー食を作る際には、いくつかのポイントに気を付けるのがおすすめです。まず、栄養バランスを意識することが挙げられます。単に食材を細かくすればよいというものではなく、体が必要とする各種栄養素を均等に取り入れることが重要であり、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルを適切に配分することで、栄養不足や偏りを防止できます。
次に、ミキサーにかける食材選びもポイントです。向いている食材としては、柔らかくて水分を含みやすいものや、繊維質が少ないものが適しています。食材選びを工夫することで、滑らかな仕上がりになります。なお、こんにゃくやイカ、タコなどの弾力性のある食べ物は、スムーズな仕上がりになりにくく不向きとされています。
さらに、粘度を調整して飲み込みやすくすることがポイントとなります。ミキサー食はさらさらであればよいというものではありません。さらさらしすぎていると、かえって飲み込みにくくなって喉が詰まる原因となるため、適切な粘度を持たせて、のどに詰まるリスクを減らし、安全に食事を楽しめるようにしましょう。さらさらの仕上がりになりやすい食材を使用する場合は、専用の増粘剤を使用する方法がおすすめです。
そのほか、彩りを工夫することで、食事の見た目を改善し食欲を促進させることもポイントとなります。色とりどりの野菜や果物を使うことで、視覚的にも楽しいミキサー食を作り出すことが可能です。このようなポイントを押さえて作ることで、食事の楽しみを生み出せるでしょう。
ミキサー食を作る際に注意するポイント
ポイントのほかに注意しておくべきことがあります。喉に詰まるなどのリスクを減らすためにも、注意点を見ていきましょう。まず、弾力がある食材や繊維質の多い野菜を避けることが注意点の一つです。食材をミキサーで細かく粉砕する際、繊維質の多い野菜を使うと、均一な滑らかさにすることがむずかしくなるからです。
たとえば、アスパラガスやセロリのような繊維質が多い野菜は、繊維が長くて固いため、ミキサーで細かくしようとしても、食感が粗くなりがちです。食べる際の不快感につながりやすくなるうえに、嚥下力が弱い方には適していません。
また、適切な粘度に調整することもポイントとなります。さらさらの液状になると食べにくくなるのはもちろん、嚥下や咀嚼がむずかしくなった方が、粘度が強すぎても詰まりの原因になるのです。そのため、食べる人のことを考えて、適切な粘度に調整することが注意点だといえます。
まとめ
ミキサー食は、病気や加齢で固形物の食事を摂るのがむずかしくなった方に向けて提供されるのが基本です。嚥下や咀嚼の機能が低くなった方でも食事を摂れる方法であるうえに、栄養の吸収効率が高いといったメリットがあります。
しかし、見た目が悪くなりやすい、味が単調になりやすいといったデメリットもあるため、使用する食材を工夫する必要があります。食べる人の好みに合わせて、ポイントや注意点を押さえた食事を提供できると望ましいでしょう。