完全調理品は災害時にも役立つ?介護職の備蓄として用意すべきものとは

公開日:2023/05/15   最終更新日:2023/09/15

近年の日本は、災害の発生が多いので日頃から食料品を備蓄しておくことが大切です。ただ、どのようなものを用意すればよいのかピンとこない人もいるかもしれません。そこでこの記事では、被災時はどのような生活になるのか、被災時の備蓄にふさわしいものの特徴、高齢者用の備蓄に適した完全調理品などについて詳しく解説します。

高齢者施設におすすめの完全調理品はこちら

被災したらどんな生活になるのか考えよう

近年、日本では比較的規模の大きいものから小規模なものまで毎年のように災害が発生しています。まずは、被災してしまったらどのような生活を送ることになるのかについてをライフラインと食事面にフォーカスして解説し、被災時の食事をまかなえるローリングストックについても紹介します。

災害時のライフラインについて

近年の日本では毎年のように災害が発生しており、電気、ガス、水道などのライフラインが数日間止まってしまうこともめずらしくなくなりました。

もし、大規模な地震の発生によってライフラインが断たれれば、電気が復旧するのに約2日~1週間、ガスなら約1~2か月、水道なら約1か月程度かかることも考えられます。

また、そこまで大規模な災害ではなくても、なんらかの災害に巻き込まれた場合には、約3日間はライフラインが機能しなくなると想定されています。

被災時の食事について

被災時にはライフラインが止まってしまうこともあり、多くの人が心身共に疲れやストレスを感じやすくなります。また、その疲れやストレスが原因で食欲が低下することもめずらしいことではありません。

このような時に病気にならないようにするには、食事からしっかりと栄養をとることが大切です。しかし、ライフラインが止まってしまうことによって調理そのものができなくなる場合もあります

被災時の食事をまかなえるローリングストック

心身共に弱ってしまう被災時には、できるだけ日頃食べなれたものから栄養をとることが大切です。しかし、一般的な非常食は長期保存がきくというメリットを持つ反面、日頃はめったに口にしないので食べにくい、おいしく感じられないといったデメリットも持ちます。

そこでおすすめなのが、日頃からよく食べる食料品を少し多めに買い、消費期限が近い順に食べて、なくなった分を補給するというローリングストックです。ローリングストックを実践すれば、いつもある程度の食料品がキープできるので被災時にも比較的食べなれたものが口にできます。

ただ、災害発生時はライフラインが止まることもじゅうぶんに考えられるので、ローリングストックの際にはカセットコンロやガスボンベ、飲料水なども一緒に用意しておくことをおすすめします。

また、食べられるものに制限がある高齢者などがいる場合には、その人に対応できるものも必ずストックしておきましょう。

被災時の備蓄としてふさわしいものの特徴

次に、被災時の備蓄としてふさわしいものの特徴を解説します。

長期保存ができるもの

被災時の備蓄には、長期保存がきくものがよいでしょう。飲料水は飲み物としてそのまま使えるほか、調理にも使えるので非常に便利です。

また、長期保存できる野菜ジュースや、サバや焼き鳥など総菜系の缶詰、温めずに食べられるカレーやおかゆなどのレトルト食品、お味噌汁やスープの素、ラーメンなどのインスタント食品も便利です。

栄養バランスが取れるもの

被災時は心身の調子を崩すことを防ぐためにも栄養バランスが取れるものが必要です。主食とたんぱく質は世代を問わずに大切なので、お米、飲料水、缶詰などがおすすめです。

食べやすくておいしいもの

レトルト食品やインスタント食品などは食べやすく、比較的味もおいしいのでおすすめです。また、日頃から食べなれているラムネやクッキーなどのお菓子は、被災時のストレスを軽減できる可能性があります。

手間をかけずにすぐ食べられるもの

封を開けてそのまま食べられるものや、自然解凍で食べられる冷凍食品も災害時の備蓄としておすすめです。とくにこれらの食料品は、災害発生直後でも食べられるというメリットがあります。

嚥下機能が低い高齢者の場合は、被災直後に配られるおにぎりやパンなどは食べられません。そのため、介護の現場では、水分補給もできるゼリー飲料や、ゼリータイプの栄養補助食品などをストックしておくと安心です。

また、冷凍食品に関しても、かまずに舌でつぶせるムース食やムース弁当などがおすすめです。

完全調理品は被災時にもおすすめ!

高齢者施設や病院などで提供されるものに完全調理品というものがあります。ここでは、完全調理品の特徴と被災時におすすめの理由を解説します。

完全調理品とは?

完全調理品は、調理済の食事がレトルトやチルド、缶詰や冷凍などに加工されたものです。

調理の手間がかからないので非常に便利であり、高齢者施設で使用されることが多いため、栄養バランスがよく食べる機能が低下した人でも食べやすいものが多いことが特徴です。

被災時におすすめの理由

完全調理品が被災時におすすめの理由は、栄養バランスに優れ、食べやすくおいしいものが増えてきているからです。

災害発生時にライフラインが止まってしまった場合や施設のライフランが断たれた場合にも、完全調理品をストックしておけばすぐに食事を提供できるので介護食の備蓄としてもおすすめです。

まとめ

大規模な災害が発生すると、ある日突然ライフラインが止まってしまうこともあるので、日頃から食料品を備蓄するのは大切なことです。

この記事では、被災時はどのような生活を送ることになるのか、被災時の備蓄として適しているものの特徴、高齢者用の備蓄として適した完全調理品などについて詳しく解説しました。

心身共に負担がかかる災害時ほど、おいしく栄養のある食べ物をとることが大切です。介護の現場では、食べる機能が低下した高齢者に適した完全調理品などの備蓄もあわせて用意しておくと安心です。

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