高齢者にもおやつや間食は必要?役割や高齢者向けのおやつの特徴について
おやつや間食は、子どもだけのものでもなければ、単なる娯楽でもありません。高齢者にとってのおやつや間食は、健康を守るためにも大切な役割を果たします。ここでは、高齢者のおやつ・間食の目的やおやつを選ぶ際の注意点、嚥下(えんげ)しやすくするためのポイントなどを解説します。高齢者向けのおやつに悩んでいる人は必読です。
おやつや間食が持つ目的・役割とは
おやつや間食というと子ども向けのものをイメージする人も少なくないでしょう。しかし、高齢者にこそおやつや間食は必要です。ここでは、高齢者におやつや間食を提供する目的・役割について解説します。
栄養不足を補う
高齢者は食事だけで必要な栄養をとれないことも多々あります。栄養が必要とされる一方で、歯・胃腸といった、食事をとるのに必要な機能が衰え、一度にたくさん食べるのが難しくなるためです。
そこで、食事だけでは不足する栄養を、おやつ・間食で補います。おやつや間食であれば、食事とはまた違った味つけや食感を楽しめるので、食事だけですませるよりも食が進むことも期待できるでしょう。
水分不足を補う
おやつにゼリーやプリン、フルーツなど水分をたっぷり含むものを食べることで、水分補給ができます。高齢になると、栄養の摂取量だけでなく水分の摂取量も減ります。
必要な水分量を水やお茶を飲むだけでとるのは現実的に難しいものの、口当たりのよいおやつや間食であれば食べやすく、水分補給も進むでしょう。
また、食べると喉が渇くようなおやつ・間食であれば、水やお茶も飲みたくなるので、結果的に水分不足を補うことに一役買います。
コミュニケーションの場を設ける
おやつや間食を通して楽しく過ごせる場を設けることで、脳を活性化させることもできます。脳にとっては、食事にくわえてほかの人との会話もよい刺激になる行為です。
とくに誰かと一緒に食べることで、食事だけでなく会話も楽しめ、心のうるおいも保てます。
おやつにも向き・不向きがある?どんなものを選べばよいのか
おやつは小腹が満たせれば何でもよいわけではありません。高齢者ならではの注意点を押さえておやつを選ぶことも大切です。そこで、ここでは高齢者向けのおやつを選ぶポイントを解説します。
必要な栄養素が含まれている食品を選ぶ
おやつには、不足している栄養を補う役割があるため、補うべき栄養が含まれているおやつを提供しましょう。とくにタンパク質・ビタミン・ミネラルは、高齢者に不足しがちな栄養素です。
栄養を補うという観点から、おやつとして提供しやすい食材が含まれているおやつを選ぶのがおすすめです。
たとえば、タンパク質を補うのであれば乳製品・卵・豆類など、ビタミンやミネラルが必要であればフルーツ・緑黄色野菜などは、おやつにも取り入れやすい食材となっています。
とはいえ、やみくもに不足しそうな栄養素を取り入れるのではなく、1日の食事とあわせて必要な栄養素がとれるように考えることが必要です。
たとえば、体を動かすエネルギーになる糖質や脂質も大切で、塩もミネラル補給には有効ですが、とりすぎると栄養バランスが崩れます。とくに生活習慣病などでカロリー制限がある人の場合は、注意が必要です。
咀嚼・嚥下しやすいおやつを選ぶ
高齢者は噛む力や飲み込む力が衰えている人も多いため、歯やあごが衰えていても咀嚼しやすいものや、あまり噛まなくても嚥下しやすいものがよいでしょう。
ゼリー・プリン・アイスクリームなどは口当たりがよくのどに詰まりにくいのでおすすめです。反対に、お餅やこんにゃくゼリー、寒天などはのどに詰まりやすく、高齢者のおやつには不向きです。
また、カステラ・ケーキといったふわふわと柔らかいお菓子やさつまいも、高齢者に好まれやすいおせんべいなども、高齢者にとっては飲み込みにくいおやつです。
口の中やのどが渇いて口の中に貼りつくため、嚥下力が低下している人はとくに飲み込みにくいでしょう。
嚥下しやすくするにはどんな工夫をすればよいか
嚥下しやすいものばかり選ぶとおやつ選びもマンネリ化しやすくなります。しかし、一般的に嚥下しにくいものでも、工夫次第で食べやすくなるため、おやつ選びの幅が広がります。
ここでは、おやつを嚥下しやすくするための工夫を紹介します。
代替餅を作る
代替餅とは、もち米の代わりに別の食材で作ったお餅です。
高齢者はなかなかお餅が食べられなくなりますが、のどに詰まりやすいもち米を別の食材に置き換えることで、お餅のようなおやつを楽しめるようになります。
厳密にはもち米でできたお餅とは味も食感も違いますが、お餅に似た食感を楽しんでもらえるでしょう。
寒天の代わりにゼラチンを使う
飲み込みにくい寒天の代用としてゼラチンで固めると、嚥下しやすくなります。寒天は噛み砕いても口の中でかたまりが残るような感覚がありますが、ゼラチンは口の中で表面が溶け、つるりと飲み込めます。
水分を含ませる
カステラ・ケーキ・さつまいもといった水分が少なく口やのどに貼りつくおやつは、水分を含ませると嚥下しやすくなるでしょう。水だけでなく、牛乳・お茶・コーヒーなど、おやつと相性のよい飲み物と組み合わせると味わいも楽しめます。
まとめ
おやつ・間食は、食事だけでは補いきれない栄養と水分を補給すると同時に、会話や食の楽しみを得られる機会であり、高齢者の心身の健康を支える大切な要素です。
ただし、高齢者におやつを供する場合、喜ばれるものを出せばよいわけではありません。栄養バランスや高齢者特有の嚥下力の低下に配慮して、飲み込みやすいおやつを用意する必要があります。
市販品でもひと手間かければ高齢者向けのおやつになりますが、日々の食事の中で飽きないようにレパートリーを準備するのは大変です。
食事だけでなくおやつや間食に対応している完全調理品サービスもあるので、ぜひ導入を検討してみてください。